この本はプロダクトデザイナー深澤さんの散文詩のようなスタイルの本です。インタビューや対談から短い言葉を集めて、それをいくつかのテーマごとに分け、そのテーマにまつわる短い考察文をさらにつけたような構成になっています。とても読みやすいのですが、どの文章にも蛍光ペンをひきたくなるような濃い1冊です。例えば...
「(製品のデザインのコンセプトとは)気づかれることを目的にしているわけではない。気づいた人だけちょっと微笑んで 、気づかなかった人は行為が止まらず流れていくということでいい。」
みんなが共有しているような記憶から抽出したコンセプトをさりげなく差し出すことが大切だ、ということなんでしょう。デザインのためのデザインでは意味がない、と。製品デザインはそうあるべきと思います。
「選ばせるためにデザインすることは、結局はクライアントのことを考えていないんじゃないかと思うんです。僕の方がよく見えるから頼んできているのに、相手の目が決めるんだったら、僕はただのお絵描きにすぎない。」
これ、わかるなあ。確かにデザインの初期段階では方向性の違う数案を考えます。でもデザイナー側ではどれがベストか心は決まっているものですよね。デザインの専門家ではないクライアントに対してフラットに複数案提示して「どれがいい?」と聞くのは不親切、と。
「計画性がなくても目的がひとつあればいい。」
これをやる、という目的があればその方法はその都度探した方が、それにとってベストなやり方がみつかる、と私も思います。きっと手間はかかるのだろうけどそれを惜しむようではいけない。
この本では決して抽象的な話だけでなく、換気扇のようなCDプレーヤーやトレイのついた照明など、深澤さんがデザインやディレクションした実例に触れているので非常にわかりやすいです。たとえ短時間の立ち読みでも心に残る一文が見つかると思います。
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